
「高等裁判所!? 何それ!? どこに行けばいいの!?」
終わったと思っていた裁判が延長戦に突入し、パニックになる私に、弁護士さんは冷静に言ってくれました。
「今まで通り、基本の手続きはこちらで進めるので大丈夫ですよ。ただ、いよいよ大詰めの期日だけは、凛々さんご本人に裁判所へ来ていただきます。相手と鉢合わせないよう完璧に対策しますから、安心してくださいね」
その言葉に、強張っていた私の肺に少しだけ空気が入り、呼吸がしやすくなりました。
■ 弁護士さんとの二人三脚
高等裁判所での戦いも、基本は「最強の盾」である弁護士さんに完全にお任せ。
しかし、いよいよ裁判官から直接質問(尋問)を受ける、決戦の日が近づいてきました。
手渡されたのは、予想される質問リストと、弁護士さんが用意してくれた「カンペ(台本)」。
「凛々さん、これをしっかり覚えてきてください。一緒に練習もしましょう」
■ 暗記の苦手な私の「人生最大の記憶力」
正直、私は学生時代から暗記が一番の苦手科目でした。
でも、この時ばかりは違いました。
これを乗り越えれば、本当の意味で自由になれる。
私と子供たちの、誰の顔色も伺わなくていい、静かで穏やかな生活が手に入るんだ。
「……絶対に、失敗できない」
私は本気でした。
移動中も、寝る前も、お風呂の中でも、弁護士さんと何度も繰り返した問答の練習。
最初はただの文字の羅列だったカンペが、少しずつ「自分の言葉」として体に馴染んでいくのを感じ、いつしか「今の私なら大丈夫」という強い自信へと変わっていきました。
■ いざ、決戦の地へ
そして迎えた、本番当日。
弁護士さんの完璧な先導とスケジュール管理により、私がこの世で一番恐れている元夫とすれ違うこともなく、私は無事に、高等裁判所の中へ足を踏み入れることができました。
重厚な扉の向こう側。
そこには、私のこの「3年間の泥沼」の最終的な答えを出す、裁判官が待っていました──。