7日前

第7話 105円の手数料で奪われた「通帳」。支配を加速させる夫の兵糧攻めと、最悪の答え合わせ

結婚生活がスタートした当初、私たちは夫婦で話し合い、「家計の管理(通帳)」は私が任されることになっていました。

憧れの専業主婦として、二人のお金をしっかりやりくりしていく。

そう意気込んでいた私から、その『全権力』を根こそぎ奪い取ったのは、たった「105円」の出来事でした。

車もなく、幼い子供もいない専業主婦。時間はありました。

しかし、一番近い銀行のATMまでは、歩いて往復1時間。

私は、往復1時間の体力と気力を温存するために、目の前のコンビニATMで「105円の手数料」を払ってお金をおろすことを選びました。

当時の私にとっては、それが自分を守るための「必要経費」だと思っていたのです。

しかし、そのたった105円が、私の「自由」を完全に奪い去る引き金になりました。

■ 105円の罪と、通帳没収事変

記帳された通帳の「105円」という文字を、彼の冷徹な目がスキャンした瞬間でした。

「お前さ、手数料かけておろすなんて、金銭感覚どうなってんの?」

「そんな無能なお前に、通帳は預けられない。今すぐ返せ。」

……えっ?

たった100円ちょっとのミス。

私の不注意だったかもしれません。でも、それを盾にされ、私は「全資産の管理権」を強制的に取り上げられてしまったのです。

「105円の手数料」という絶対的な大義名分を振りかざされ、私は反論することすら許されませんでした。

■ 加速する支配と「兵糧攻め」

通帳を奪われた後、私は彼から毎月「これでやりくりして」と、決められた生活費だけを渡されるようになりました。

しかし、彼の支配はそこで終わりませんでした。

「お前の飯、まずいんだよ。ほんとセンスない。」

「俺は外食増やすから、家での食費は削るわ。」

最初は2人で決めたはずの食費の予算が、一方的に、じわじわと減らされていくのです。

予算は削られているのに、料理のクオリティが下がれば、また激しい言葉の暴力が飛んでくる。

少ない予算の中で、彼の顔色を伺いながら、震える手でスーパーの安い食材を選ぶ日々。

お金の自由を奪われ、逃げ道(選択肢)を塞がれていく。

完全な「兵糧攻め」でした。

■ 虚無の答え合わせ

そんな息の詰まる生活が続いていた、ある日のこと。

リビングのテーブルに、彼が無造作にポンと置いたままにしていた「1枚の紙切れ」がありました。

何気なくそれに目を落とした私の思考は、完全に停止しました。

それは、銀行の利用明細書。

そこにはっきりと印字されていたのは、彼が**「コンビニATMでお金をおろし、しっかりと手数料を払っている」**という事実でした。

私から通帳を奪うための、あの激しい怒りは何だったのか。

「金銭感覚がない」「無能だ」と私を罵倒した、あの言葉は何だったのか。

彼にとって「105円の手数料」なんて、どうでもよかったのです。

ただ、私から権利を奪い、支配するための「都合のいい口実」が欲しかっただけ。

明細書を握りしめたまま、私は声も出せずに立ち尽くしてしました。

これが、私がすべてを捧げた「結婚生活」の、あまりにも残酷な答え合わせでした──。