8日前

第6話 絶頂から始まった「お前」という名の急降下。専業主婦が落ちた支配の罠

広い、綺麗、おしゃれ。

彼のマンションに足を踏み入れた時、私はこれから始まる地獄に全く気づいていませんでした。

「今日からここで、幸せな暮らしが始まるんだ……!」✨

婚姻届を出し、キャバクラを引退。

私はニートから一気に、憧れの「専業主婦」へと生まれ変わりました。

掃除をして、ご飯を作り、昼間はのんびり過ごす。

「専業主婦って、最高じゃん!」☀️

そう確信していたのは、最初の数ヶ月だけでした。

■ 豹変する「支配者」

半年が過ぎた頃、平穏な空気が一変します。

優しかった態度は消え去り、投げつけられたのは**「お前」**という見下すような言葉でした。

「お前さ、なんでこんな料理しか作れないの?」

「ほんとセンスない。何やってもダメだな。」

私のHSP特有の敏感なセンサーは、「この人、何かがおかしい」と激しく警告していました。

しかし当時の私は、自分自身にこう言い聞かせてしまったのです。

「養ってもらっているんだから、文句を言っちゃダメだ。私がもっと頑張らないと……!」

またダメ出しされるかもしれない。

息が詰まるほどのプレッシャーの中、私は必死にクックパッドをあさり、メルカリで料理本を買い集めました。

「彼を喜ばせるための料理」に、自分のすべての時間と労力を注ぎ込んだのです。

■ 思考を麻痺させる「アメとムチ」の罠

毎日毎日、必死に勉強して作った料理を否定される日々。

ところが、たまに「今日は自信ないな……」と弱気になっている時に限って、

「今日のご飯、いいじゃん。」

と、気まぐれな称賛が飛んでくるのです。

「下げて、下げて、一瞬だけ上げる。」

このランダムな優しさが、私の思考を完全に麻痺させていきました。

何が正解か分からない。

いや、正解は「彼の中」にしかないのだ。

キャバクラ時代、あんなに必死に保っていた「自分は自分」という軸が。

少しずつ、でも確実に折れていく音が聞こえていました──。