
調停を取り下げ、「まずは普通に働こう」と心に決めたものの、現実は厳しかった。
実家周辺の環境で、幼い子供二人を抱えての通勤と、保育園の送迎。
「車がないと、どうにもならない。」
電車やバスの待ち時間なんて、過酷なタイムスケジュールを回すシンママにはありません。綺麗事は言っていられませんでした。
私は、手元にある「全財産」を、車という鉄の塊に変えるという、恐ろしい決断を下しました。
■ 執念と涙の「100万円」
かき集めた総額は、100万円。
その内訳は、私の執念と涙の結晶そのものでした。
・自分の結婚祝い
・子供たちの出産祝いや、お年玉
・夫から生活費を削られる中、日々の食費を1円単位で削って隠し持っていたお金
これをすべて、一台の中古車に注ぎ込みました。
この瞬間、私の銀行残高は本当に「ゼロ」になりました。
■ 恐怖を塗り潰した「自分の足」
選んだのは、中古車といっても新車同様の輝きを放つ「展示車」でした。
これからのシングルマザーとしての過酷な生活。途中で安い中古車が壊れて、想定外の修理代がかかるリスクだけは絶対に避けたかったのです。
「全財産がゼロになる」という底知れぬ恐怖。
でもそれ以上に、「自分の足」を確保し、子供たちを乗せて自分の意志でどこへでも行けるという確信が、私を力強く突き動かしていました。
0円になった通帳と引き換えに手に入れた、この一台の鉄の塊。
これが、私と子供たちをドン底の生活から這い上がらせるための、唯一にして最強の「戦友」になるのです——。