昨日

第22話 優しき女性弁護士と「親権」の壁。母と喜んだ着手金と、泥沼の「3年」の序章】

介護職として働き始めたものの、手取りのお給料はギリギリ。

子供二人を抱えて生きていくには、やはり一生食いっぱぐれない「准看護師」の資格が絶対に必要でした。

そして、准看護師学校の学費をまかなうための「母子家庭の訓練給付金」をもらうには、夫との『離婚』が絶対条件。

自力での家庭裁判所(調停)で夫の暴言に打ち砕かれた私は、プロの弁護士という強力な味方を探し始めました。

■ 「救いの神」に見えたホームページ

すがるような思いでネットを検索し、見つけたのは、綺麗で優しそうな女性弁護士さんのホームページでした。

母に相談すると「ここに行ってみよう」と即座にゴーサイン。

二人で、祈るような思いで初回30分の無料相談へ向かいました。

私は、無料相談の席で再びあのノートを差し出しました。

毎日血を吐く思いで書き溜めた「モラハラ日記」です。

日記を読んだ女性弁護士さんの口から出たのは、以前の無料相談の時と全く同じ言葉でした。

「……食事に関する記述が多いですね。これでは法的に、慰謝料を取るのは難しいかと」

でも、彼女の対応は以前の弁護士とは全く違っていました。

HSPでコミュ障であり、辿々しくしか話せない私の恐怖と悲しみを、彼女は最後まで否定することなく、丁寧に聞いてくれたのです。

■ 「親権」という名の踏み絵

慰謝料は取れなくてもいい。とにかく離婚したい。

しかし、夫から突きつけられていた条件は、私にとって絶対に受け入れられないものでした。

「お前とは離婚してもいい。でも、親権は俺だ」

その事実を伝えると、先生は静かに、しかし力強く頷いてくれました。

「わかりました。戦いましょう」と。

■ 喜んだ着手金と、知らなかった未来

後日、弁護士事務所から見積書が届きました。

そこには「着手金数万円」の文字が。残りは、終わってからの成功報酬型でした。

極貧生活の私にとって、弁護士費用は何十万、何百万とかかるものだと怯えていたため、想像よりはるかに安い初期費用に、私と母は手を取り合って喜びました。

「これで、やっと前へ進めるね!」

「うん、やっとあの人から解放される!」

暗くて長いトンネルの先に、ようやく一条の光が見えた気がしたのです。

しかし。

当時の私と母は、まだ知る由もありませんでした。

この「着手金数万円」の契約が。

ここから先、私の精神を削りに削りまくる、地獄のような『3年間』に及ぶ泥沼の裁判の……ほんの序章に過ぎなかったということを──。