5日前

第13話:食費3万円の恩義。実家という最強の安全地帯

手元にあるのは、血の滲むような思いで貯めた100万円のみ。

子供二人を抱えて生きていくには、一瞬で底をつく心許ない軍資金です。

実家の天井を見上げながら、私は確信していました。

このまま普通のパートに出ても、ジリ貧になるのは目に見えている。

中途半端に辞めた美容師人生には、もう戻れません。

何も答えが出ないまま迎えた、翌日。

私は両親の前に座り、ボロボロの状態で決意を伝えました。

「離婚に向けて戦う」

「働く」

どれも、当時の私の状況からは無謀とも言える挑戦でした。

しかし私の決意を、母はすべて「受け入れる」という形で、背中を力強く押してくれたのです。

■ 「食費3万円」の重みと、未来への誓い

実家に身を寄せた私は、毎月両親から「3万円」を借り、そのお金をそのまま『食費』として母の手に渡していました。

「返さなくて良いよ」

母はそう言ってくれましたが、私は「返せるようになったら絶対に返す」と言い張りました。

大人一人と、子供二人。その食費、水道代、電気代。

たった3万円で足りるわけがないことくらい、私にも痛いほどわかっていました。

それでも母は、「足りない」と文句を言うこともなく、毎日子供たちと笑顔で遊んでくれました。

いつか必ず、自分の足で立ち上がって恩返しをする。

それが、私がこれからの人生をかけて返済していくべき、たった一つの『負債』なのだと――。

母の小さな背中を見つめながら、私は心に固く誓ったのです。